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私立医学部の推薦入試(4)付属校推薦入試
- 2010-05-11 (火)
- 推薦入試
私立医学部の推薦入試の中でも、なかなかその実態が見えにくいのが
付属校推薦入試です。
医学部のある私立大学のいくつかには付属中学・付属高校があります。
例えば、慶應義塾大学の付属高校には
慶應義塾高校、慶應義塾湘南藤沢高校、慶應義塾志木高校などがあります。
付属高校には内部進学という制度があり、
希望の学部に進学するためには、校内統一テストや高校の成績で
一定の基準をクリアする必要があります。
私立医学部の中では、慶應義塾大学の他に
日本大学や近畿大学などで付属校推薦を行っています。
2010年度(平成22年度)入試で、
医学部の付属校推薦を行っている大学は以下の通りです。
| 大学 | 募集人員 |
| 慶應義塾大学 | 非公表 |
| 東邦大学 | 一般入試の募集人員に含む |
| 日本大学 | 15以内 |
| 東海大学 | 20 |
| 近畿大学 | 非公表(2010年度実績は合格者4名) |
| 川崎医科大学 | 約30 |
| 福岡大学 | 公募推薦入試の募集人員に含む |
内部進学の基準はそれぞれの大学によって違います。
日本大学のように、全国の付属校で一斉に「日大統一テスト」を行う大学もあれば、
川崎医科大学のように、付属校の生徒であれば1浪まで内部推薦が受験でき、
独自の学科試験が課される大学もあります。
また、東海大学は「東海大学」と名のつく高校の中でも、
「付属校」と「提携校」「連携校」に分かれており、高校ごとに推薦枠の人数が異なります。
もちろん、必ずしも内部推薦で進学する生徒ばかりでなく、
付属校の中にも一般入試でその大学の医学部を受験する生徒はいます。
その場合は、他の受験生と同じ扱いになります。
付属校から医学部への内部進学を考える場合は、
その高校から毎年何人ぐらいが医学部に進んでいるのか、
そのうち内部進学しているのは何人かなど、
よく調べておく必要があるでしょう。
私立医学部の推薦入試(3)指定校推薦入試
- 2010-05-07 (金)
- 推薦入試
2010年度(平成22年度)入試において、指定校推薦を実施した私立医学部は
全部で7校ありましたが、そのうち獨協医科大学と金沢医科大学が1浪まで受験でき、
後はすべて現役生のみに出願資格を限っています。
| 大学 | 募集人員 | 現浪別 |
| 獨協医科大学 | 20 | 1浪まで |
| 埼玉医科大学 | 約10 | 現役 |
| 東京女子医科大学 | 約15 | 現役 |
| 北里大学 | 30 | 現役 |
| 聖マリアンナ医科大学 | 15 | 現役 |
| 金沢医科大学 | 約5 | 1浪まで |
| 愛知医科大学 | 約20 | 現役 |
※募集人員に*がついている大学は指定校制を含む
私立医学部への進学を考えている高校生やご父兄の皆さんは
通っている高校が指定校枠を持っているかどうか、
また成績が推薦基準に達しているかどうか、ぜひ確認しておきましょう。
公募制の場合も指定校制の場合も、推薦入試は大学独自の学科試験や適性試験を課すところが多く、
一般入試のように、英語・数学・理科2科目が必ずしも必要とは限りません。
また、小論文を課す大学も多いのですが、通常の小論文とはかなり異なるタイプのものが
出題される大学もあります。
基本的に推薦入試の問題は公表されていないことが多く、
試験形式もはっきりとはわからない大学がほとんどです。
過去に受験した人などの話から、情報を集めるしかありません。
また、私立医学部の推薦入試に詳しい塾や予備校に相談するのもいいでしょう。
試験内容がわからないと、準備の仕様もありませんからね。
また、推薦入試では一般入試以上に面接試験が重視されます。
この面接試験も、受験生と試験官の1対1で行われる個人面接から、
グループで行われるグループ面接まで、大学によって形式は様々です。
一口にグループ面接と言っても、討論形式のものから個人面接の延長のようなものまで
様々なスタイルがあります。
また、討論形式にも色々な種類があり、1つのテーマについて賛成と反対に
分かれて討論するものや、課題文を読んでから指示内容に従って順位をつけ、
グループ内で順位の正当性について話し合うものまで千差万別です。
高3生で推薦入試を考えていらっしゃる方は、
一般入試に向けての勉強を進めながら、夏頃から推薦入試のための準備を
始めるといいでしょう。
私立医学部の推薦入試(2)公募制推薦入試と指定校推薦入試
- 2010-05-05 (水)
- 推薦入試
2010年度(平成22年度)私立医学部入試の
公募制推薦入試の受験資格と募集人員は次のようになります。
| 現浪別 | 評定平均 | 大学 | 募集人員 |
| 現役 | 4.1以上 | 東京女子医科大学 | 約15 |
| 現役 | 4.0以上 | 東京医科大学 | 18以内 |
| 現役 | 4.0以上 | 関西医科大学 | 約20 |
| 現役 | 3.8以上 | 兵庫医科大学 | 約20以内 |
| 現役 | 3.7以上 | 愛知医科大学 | 約15 |
| 現役 | なし | 近畿大学 | 15 |
| 1浪まで | 4.3以上 | 産業医科大学 | 20以内 |
| 1浪まで | 4.0以上 | 岩手医科大学 | 35 |
| 1浪まで | 4.0以上 | 獨協医科大学 | 10 |
| 1浪まで | 4.0以上 | 埼玉医科大学 | 約10* |
| 1浪まで | 4.0以上 | 久留米大学 | 約10 |
| 1浪まで | 3.8以上 | 金沢医科大学 | 約20 |
| 1浪まで | 3.7以上 | 福岡大学 | 35程度 |
| 2浪まで | なし | 藤田保健衛生大学 | 25 |
| 4浪まで | なし | 川崎医科大学 | 約20 |
※募集人員に*がついている大学は指定校制を含む
現役生だけでなく、1浪生も受けられる大学が結構あることがわかります。
また、ほとんどの大学で評定平均に制限があり、およそ4.0前後は必要です。
ただし、獨協医科大学の公募推薦は「地域特別枠」となりますので、
卒業後の進路および、居住地もしくは出身高校に制限があります。
川崎医科大学の特別推薦も「地域枠」となりますので、
やはり同じように制限があります。
倍率は各大学によって違いますが、3倍~5倍程度が多くを占めます。
倍率が10倍を越えることも珍しくない私立医学部入試において、
公募制推薦入試は大きな狙い目と言えるでしょう。
さらに、倍率の低い推薦入試があります。
指定校推薦入試です。
指定校推薦とは、大学側がこれまでの実績などをもとに、特定の高校に推薦枠を設けている制度で、
評定平均などの条件を満たしている希望者が多い場合は、校内で選考が行われます。
他学部であれば、校内選考をクリアした時点でほぼ合格と言ってもいいのですが、
私立医学部においては、指定校推薦といえど2倍を越える大学も珍しくありません。
ただし、公募制推薦と比べてもかなり競争率が低いことは確かで、
もし高校が推薦枠を持っているならば、ぜひ考えてもらいたい制度です。
指定校推薦の話は次回に続きます。
私立医学部の推薦入試(1)公募制推薦入試
- 2010-05-03 (月)
- 推薦入試
年々増え続けている私立医学部入試の志願者数ですが、
募集方法は大きく分けると5つあります。
1.推薦入試
2.AO入試
3.一般入試
4.センター試験利用入試
5.編入学試験
このうち、募集人員が最も多いのは一般入試であり、
4のセンター試験利用入試も、厳密に言えば一般入試の一部です。
もっとも、各大学とも一般入試に限らず、様々な方法で学生を募集しています。
純粋に一般入試のみで学生を募集している大学は、
全部で29大学ある私立医学部のうち
自治医科大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学の3校にすぎません。
一般入試の次に募集人員が多いのが、推薦入試です。
一口に推薦入試といっても、次の4種類があります。
●公募制推薦入試
●指定校推薦入試
●付属校推薦入試
●地域枠推薦入試
このうち、募集人員が最も多いのは「公募制推薦入試」です。
大学側が指定した受験資格を満たしていれば、誰でも受験することができます。
受験資格の大きな柱は「調査書の評定平均」と「高校の卒業年度」の2つです。
調査書には出席日数や課外活動など、様々な内容が記載されています。
学業成績に関しては、高校1年からの各教科の評定値が記載されており、
評定平均は「高1・高2の学年末と高3の1学期(二期制の場合は前期)」の
成績をもとに算出したものです。
5段階評価の評定値の合計÷科目数=評定平均値
となります。
例えば、2010年度(平成22年度)の
東京医科大学医学部の一般公募推薦入試の主な受験資格は
・高校を2010年(平成22年)卒業見込の者
・3年1学期までの調査書全体の評定平均値が4.0以上の者
・合格した場合に入学を確約できる者
とあります。
また、「同一高校からの推薦は1名とします」とあるため、同じ校内に
希望者が複数いた場合は校内選考が行われます。
また、私立医学部の場合、公募推薦のほとんどが
「合格した場合に入学を確約できる者」
つまりは専願制であり、合格したら原則として辞退はできません。
ちなみに、私立医学部の公募推薦の中で、近畿大学医学部のみ辞退可能、
つまり他大学の一般入試と併願することができます。
現役生であれば評定平均の制限がないこともあり、近畿大学医学部の公募推薦は
毎年多くの受験生を集めます。
2010年度(平成22年度)入試では270名が受験しました。
合格者は28名、入学者は12名ですから、16名が入学辞退したことになります。
医学部入試はなぜ難しいのか(5)私立医学部の人気
- 2010-04-21 (水)
- 一般入試
前回は、国公立医学部と私立医学部の受験内容について比較をしました。
国公立医学部に比べると、私立医学部の方が受験しやすいことは確かです。
ただ、私立医学部と言えば、「学費が高い」というイメージがあります。
実際に最も安い順天堂大学で6年間で2090万円、
最も高い大学では5000万円近くかかります。
他学部では、国公立と私立を併願する受験生はごく一般的ですが、
医学部に関しては学費のこともあり、
国公立と私立を併願する受験生はそれほど多くありません。
現在、国公立医学部の6年間の学費は約350万円です。
私立医学部の中にも、特待生や奨学金制度を設けている大学や、
自治医科大学や産業医科大学のように学費を全額(もしくは一部)貸与している大学、
防衛医科大学校のように所定の手当てをもらいながら学べる大学もありますが、
そのほとんどは、やはり6年間で3000万円~4000万円かかるのが実状です。
前回、国公立医学部の志願者はほぼ横ばいなのに対して、
私立医学部の志願者は年々増え続けているというお話をしましたが、
その大きな理由の1つに、私立医学部のいくつかが学費の値下げに
踏み切ったことが挙げられます。
具体的には順天堂大学医学部が6年間で1,000万円近く、
昭和大学医学部が6年間で500万円近く学費を値下げしました。
その結果、国公立医学部との併願者が増え、両校とも受験者数を延ばしています。
また、センター試験利用入試を導入する大学が増えていることも挙げられます。
これも国公立併願者を少しでも取り込もうとする各大学の取り組みでしょう。
昭和大学医学部や大阪医科大学医学部がII期・後期入試を設けたりと、
受験機会が増えていることも志願者数の増加につながっていると考えられます。
医学部入試はなぜ難しいのか(4)国公立と私立医学部
- 2010-04-19 (月)
- 一般入試
年々、難易度が上がり続ける医学部入試において、
国公立医学部の偏差値レベルはほぼ限界まで上がっていると
見ていいと思います。
他の学部においてはブランドイメージや就職率などが、
大学選びの重要なファクターのひとつになりますが、
国公立医学部に関しては、センター試験の得点と2次試験の内容によって
受験校を決める方がほとんどだと思います。
国公立大学ではセンター試験の受験は必須ですが、
選択科目や科目ごとの配点は大学により様々です。
また、国公立大学では各大学それぞれで2次試験が課せられます。
その試験科目や配点もまた大学によって違います。
同じ大学であっても、前期と後期では科目や配点が違うことは
決して珍しくありません。
ですから、まずセンター試験が終わった後、自分の点数を自己採点して、
合格の可能性を考えながら受験校を決めることになります。
センター試験の出来とボーダーラインを照らし合わせた結果、
これまで縁もゆかりもない地方の大学を受けることは決して珍しくありません。
「新幹線が通っていない地方の医学部はねらい目」
などといった冗談が囁かれるのも、そうした背景を踏まえてのことでしょう。
国公立医学部を受験するためには、
センター試験でいわゆる「5教科7科目」が必要になります。
国語、英語(大学によってはリスニングも要)、数学I・A、数学II・B、
物理I・化学I・生物Iより2科目(3科目の大学もあります)、地歴公民です。
合格するためには、センター試験で90%以上の得点率が必要です。
単純計算すると、1科目あたり数問のミスしか許されません。
また、2次試験では多くの大学で記述式の試験が課せられます。
(センター試験はマークシート方式です)
数学はIII・Cまで必要です。
2次試験はセンター試験と違って国語や地歴公民はなく、
英語・数学・理科2科目を課す大学がほとんどですが、2段階選抜を行う大学もあり、
非常に高いレベルの争いになります。
私立医学部入試でも英語・数学・理科2科目は必須ですが、
一般入試ではセンター試験を受験する必要はありません。
(定員2名~25名程度でセンター試験利用入試を導入している私立医学部は、
2010年度入試において全29大学中11大学です)
帝京大学医学部では国語も受験科目に入っています。
試験の内容はマーク式や穴埋め式、記述式など大学によって様々ですが、
難問や癖のある問題はほとんど見られず、標準的な問題が多く出題されています。
医学部入試はなぜ難しいのか(3)減らない志願者
- 2010-04-08 (木)
- 一般入試
前回、医学部志願者は増え続けているというお話をしました。
医学部入試はなぜ難しいのか(2)1点ごとに10人いる!?
過去3年間、国公立大学・私立大学を併せた医学部志願者は、
2007年度で99,775人
2008年度で102,565人
2009年度で102,921人
と年々上昇を続けています。
特に、国公立医学部の志願者が
2007年度で30,354人
2008年度で30,509人
2009年度で29,692人
とほぼ横ばいなのに対して、
私立医学部の志願者数は
2007年度で69,421人
2008年度で72,056人
2009年度で73,229人
と年々増加しています。
(メルリックス学院発行『2009 入試総括』より)
といっても、志願者数は「のべ人数」なので、
単純に志願者数が増えたからといって、
受験者が増えたとは必ずしも言い切れません。
それでも、センター試験利用入試を採用する私立大学が
年々増えているにも関わらず、
過去3年間のセンター試験の志願者数は、
2007年度で553,352人
2008年度で543,385人
2009年度で543,987人
とほぼ横ばいであることを考えれば、やはり医学部入試の人気が突出しており、
中でも私立医学部の人気が高まっていることは間違いないでしょう。
では、なぜ医学部入試、中でも私立医学部入試の人気が
近年これほどまでに高まっているのでしょう。
以前、政府が「一県一医大構想」を掲げて、
昭和40年代に全国各地にいわゆる「新設医大」が
誕生したことをお話ししました。
それを受けて、1970年(昭和45年)から1980年(昭和55年)の間に
医学部の定員数は、4,380人から8,260人へと4,000人近く増加しました。
また、同時期に歯学部の新設も相次ぎ、
1970年(昭和45年)から1980年(昭和55年)の間に
歯学部の定員数は、1,460人から3,360人へと2,000人近く増加しました。
一般に、医師の家庭に生まれたお子さんは医師を志す割合が高いと言われます。
また、最近では歯科医師のお子さんも、歯科医師より医師を志す傾向があります。
日本全国に医学部・歯学部が新設された昭和40年代に
医学部・歯学部に入学して医師・歯科医師になった方々のお子さんが
大学受験期に入っていることが、
医学部人気を支える1つの要因であることは間違いないでしょう。
ではなぜ、医学部の中でも特に私立医学部の人気が
近年これほどまでに高まっているのでしょう。
次回はそのお話を。
医学部入試はなぜ難しいのか(2)1点ごとに10人いる!?
- 2010-04-03 (土)
- 一般入試
前回は、医学部入試に「滑り止めがない」ことについてお話ししました。
医学部入試はなぜ難しいのか(1)滑り止めがない!?
代ゼミさんの2009年度データによると、
国公立大学の医学部で最も難しいとされる東京大学理IIIは
センターランク93%、偏差値ランク72で、
国公立の医学部全体を見ると、偏差値65から72というわずかな間に、
43校もの大学がひしめいています。
これは、私立医学部に関しても同様で、
私立医学部の中で最も難関とされる慶應義塾大学は
代ゼミさんのデータで偏差値71、
最も易しいとされる聖マリアンナ医科大学でさえ61です。
わずか偏差値10ほどの間に、全29校がひしめき合っているのです。
これは理工学部や経済学部といった他の学部では見られない光景です。
医学部の偏差値を押し上げているもう1つの要因が、
他学部に比べると飛び抜けて高い志願倍率です。

(ベネッセ「2009年度 医学部医学科情報 医学科のはなし」より)
ベネッセさんの資料によると、
2009年度の国公立医学部の志願倍率は7.1倍です。
次に志願倍率が高いのが、薬学部の4.7倍、歯学部の4.2倍ですから、
上位3学部を医療系の学部が占めています。
理学部や工学部は3.7倍、
文系学部の中で人気の高い経済・経営・商学部は4.1倍ですから、
いかに医学部の倍率が飛び抜けているかがわかります。
これが私立医学部になるとさらに10倍を越え、一般入試で11.7倍、
セ試利用入試で16.5倍という高い倍率を誇ります。
定員に対してこれだけ志願者数が多いと、ちょっとしたミスが
合否を大きく分けることになりかねません。
一説には、私立医学部入試では、ボーダーライン上の同じ点数に
最低10人はいるそうです。
よって、私立医学部入試において、偏差値ランク66の大学に受かっても、
偏差値61の大学の1次試験に通らないことは
決して珍しいことではありません。
18歳人口の数は年々減っており、1992年(平成4年)の2,049,000人から
2009年(平成21年)には1,212,000人と、ピーク時の約6割にまで減少しました。
逆に大学の定員は増え続けているため、2009年度は570校中265校の私立大学で
定員割れとなりました。
そんな中でも年々志願者が増え続ける医学部入試は、
大学入試において特異な存在になりつつあります。
次回は、なぜ医学部の志願者は増え続けているのかについてお話しします。
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